サプライチェーンDXソリューション

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サプライチェーンDXへの取り組みにおける、サプライチェーンの高度化を実現する4つのステップ

グローバルサプライチェーンを取り巻く課題

2011年に発生した東日本大震災では、多くの製造業や部品メーカーの生産拠点の被災、通信回線の遮断に よるEDIシステムのダウン、輸送網の停止による原料や部材の調達困難、計画停電や人員不足などが複合的に発生し、サプライチェーンに甚大な影響をもたらしました。

2020年には新型コロナウイルスの世界的な感染流行により、製造業界における操業停止や急激な需要変動が発生し、企業収益に大きな影響が発生しました。

パンデミック、自然災害、サイバー攻撃、テロ、米中貿易摩擦―。サプライチェーンは、様々な要因により影響を受けやすいため、今後も製品やサービスの供給が減少または停止するリスクがあります。

2021年2月、米国のバイデン大統領は「経済的繁栄と国家安全保障を確保するためには、強靭かつ多様で、安全なサプライチェーンが必要」とし、サプライチェーンを強化するための大統領令に署名しました。サプライチェーンの分断は企業のみならず「国家にとっても大きな脅威」であり、サプライチェーンを強靭で回復力の高いものへと高度化することが世界的な課題となっています。

「サプライチェーンを止めないこと」だけを考慮する時代は終わり、今後は、倫理的な調達や生産を意識する「エシカルサプライチェーン」なども視野にいれた「サプライチェーンの高度化」が必要となってきています。

サプライチェーンの高度化を進める「4つのステップ」とは?

日本では、デジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた一歩として、これまで電話やメール、FAXで行ってきた受発注プロセスの見直しやそれらに必要な紙の書類を廃止するなど、多くの企業が「デジタル化」に取り組み始めています。また2024年にはISDNサービス※1の終了が予定されていることに伴い、通信回線の見直しや企業間データ連携システムであるEDIへの移行を進めるなど、そのスピードは年々加速してきています。
※1 NTT東西が提供しているISDNサービス「INSネットディジタル通信モード」

一方で、日本より1歩または2歩先へと歩みを進める欧米諸国では、既に多くの企業がサプライチェーンのデジタル化やDX化を実現しており、現在は、不測の事態からすぐに回復可能なサプライチェーンの基盤構築やサステナブルを意識した倫理的なサプライチェーンへの見直しなど、さらなる「サプライチェーンの高度化」に取り組み始めています。

近い将来、多くの日本企業がDX化を実現した先には、欧米企業のようにサプライチェーンの高度化に向けた様々な取り組みが必要になると考えられます。

OpenTextは、これまで欧米諸国のお客様へ導入をご支援をしてきた経験から、これからの時代の消費者意識に寄り添いながら、強靭なサプライチェーンへと高度化させるための方向性として、以下の4つのステップに分類し捉えています。

Step1:サプライチェーンデジタル化

現在、多くの日本企業が最初の段階である「サプライチェーンデジタル化」に取り組んでいます。将来的な高度化を実現するためのベースとなる基盤を構築するため、電話やメール、FAXなど、これまで手作業で行っている受発注プロセスの改革やペーパーレス化など、業務のデジタル化を進めるステップです。サプライチェーン上のすべての取引情報を「100%デジタル化」し、まずは「全てのデータを把握できる状態」を目指します。

Step2:サプライチェーンDX

把握できるようになった様々なデジタルデータをプロアクティブに活用して、エコシステム全体の可視化や業務横断的なプロセス改革を進めるのが次のステップである「サプライチェーンDX」です。データに基づいた購買予測や在庫・物流コストの削減、需要予測、新規ビジネスの創出など、局所的ではない「サプライチェーン全体のプロセスを最適化」し、ビジネスをより加速させることができるようになります。

Step3:サプライチェーンレジリエンス、エシカルサプライチェーン

DX化を実現した次のステップにあるのが、安全性、継続性の高いサプライチェーンを実現するために、不測の事態に柔軟に対応できる「サプライチェーンレジリエンス」と、倫理的な労働環境や環境に配慮した事業運営をしているサプライヤーとの取引や調達を行う「エシカルサプライチェーン」です。DX化で可視化・連携された情報をさらに有効活用しサプライチェーン全体をモニタリングする「サプライチェーンコントロールタワー」の機能を実現することで、過去・現在の出来事や将来的な予測に基づき、プロアクティブに例外的なビジネスリスクを検知し、次の一手を打つことができる「俊敏性」の高いサプライチェーンの構築を目指します。

Step4:アダプティブサプライチェーン

1~3までのステップを経た後、将来的にはサプライチェーンを構成する取引先ネットワークの再設計と再構築をも自動化させる「アダプティブサプライチェーン」の実現を目指します。 アダプティブサプライチェーンとは、需要や市場の急激な変化や不測の混乱などが発生する前に、AIや機械学習などを活用して将来的なあらゆるリスクを予測し、先んじて自動的に調達ネットワークを組み替え、再構築するなど、言わば「自律型サプライチェーン」の構築を指します。

それでは、どのようにしてサプライチェーンの高度化を進めるべきなのでしょうか?
これらを実現するために求められる「サプライチェーンプラットフォーム」の要素ついて解説していきます。

サプライチェーンの高度化に向けた
プラットフォームに求められる「4つの要素」

大手のメーカーでは、仕入先、物流会社、販売会社など、すべて合わせると取引先が数万社に及ぶこともあり、取引先毎や業界毎に様々に「分断された」サプライチェーンプラットフォームを活用していることは珍しくありません。

将来的なステップにある「サプライチェーンのコントロールタワー」や「自律型サプライチェーン」を実現するためには、それらのすべての取引先と自社の基幹システムとのデータ連携をスムーズに行い、サプライチェーン全体のプロセスを一元的に管理・可視化できる、「単一」のサプライチェーンプラットフォームの検討が必要になります。

最初のステップである「サプライチェーンデジタル化」の最終ゴールである、すべての取引先との「100%デジタル化」を単一のプラットフォームで実現するためには、国内・海外、業種・業界や企業規模を問わず、あらゆる取引先とのあらゆる方式でのデータ連携を可能とするプラットフォームが求められるでしょう。

さらに近年では、旧来のEDIのような接続方式のみならず、業務横断的なプロセス改革の視点から、様々な業務アプリケーションとの連携も必要とされ、「APIによるアプリケーション間のデータ連携」など、さらなるプラットフォーム連携の「柔軟性」も求められます。

「100%のデジタル化」と「他のアプリケーションと連携された」データで、次なるステップである「サプライチェーンDX」を実現するための、「データの活用」という視点ではどうでしょうか?

サプライチェーン全体の業務ステータスを一元的に把握できるとともに、業務上の例外が発生した場合の「検知」やタイムリーな「通知」を実現するためには、注文→納期回答→出荷→着荷→請求など、「注文ライフサイクル」に応じた業務のステータスをリアルタイムで「可視化」できることも求められます。

また、これらの注文ライフサイクルのステータスは発注元だけが管理するのではなく、すべての取引先とそれらの情報を共有できる「コラボレーション」性があることで、よりサプライヤとの関係性の改善や、不測の事態の早期把握や例外時のリスク管理への対応力が向上します。

さらに、世界的な情勢で日々変動する到着予定日を自動算出する「物流ステータスの可視化」やサプライヤの現在・過去の「納期遵守率」「出荷遅延の割合」など、物流キャリアやサプライヤのパフォーマンスを数字的に評価・分析し、これらを、「インサイト」として得られることで、管理部門から迅速な意思決定を促し、移動中在庫コストの削減や緊急輸送の削減につなげるなど、今後のビジネスプロセスの全体最適に活かせることも重要です。

サプライチェーンの高度化に向けた、単一のサプライチェーンプラットフォーム基盤は、これらの「柔軟性」、「可視化」、「コラボレーション」、そして「インサイト」の4つの要素が求められます。

より高度なサプライチェーンコントロールへ

プラットフォーム構築によりサプライチェーン全体の可視化が図られた後は、その情報に基づいた意思決定と対策を実施する機能が必要になります。それが、Step3で取り組む「サプライチェーンレジリエンス」や「エシカルサプライチェーン」を最適化するための「サプライチェーンコントロールタワー」です。

サプライチェーンコントロールタワーは、サプライチェーン全体をモニタリングしています。
もし「注文が受理されない」「納期が遅延している」など、サプライチェーンの分断や混乱が発生しそうなアラートを検知すると、今何が起こっているのか、将来何が起こり得るかを予測し、ビジネスへの影響を測定します。またサプライチェーン領域におけるエシカルサプライチェーンへの対応についてもコントロールタワーにより取引先の事業運営が健全に行われているかを把握することが可能になります。これにより企業は、これまでにない「高度」かつ「スピーディ」な意思決定や行動につなげることが可能になります。

サプライチェーンコントロールタワー機能を正しく実装するためには、供給する内外の情報が必要になるため、エンドツーエンドでのサプライチェーンを完全にデジタル化し可視化することは必要不可欠の前提です。

柔軟性、可視化、コラボレーション、そしてインサイトを持つプラットフォームを構築し、サプライチェーンコントロールタワーを実現できていれば、将来的には、それらにAIと機械学習を組み合わせることで、状況に即して自動的にサプライチェーンネットワーク自体を組み替えてサプライチェーンを再構築する「アダプティブサプライチェーン」へと発展させていくことが可能となるでしょう。

「サプライチェーンDX」を支援するソリューション

OpenTextでは、30年以上にわたり調達ネットワークによる受発注業務や販売業務などをご支援してまいりました。
サプライチェーンの高度化を目指すための、エンドツーエンドの100%デジタル化については、企業間B2Bデータ連携クラウドサービス「OpenText Business Network Cloud」を通じ、国内外含めて130万社が接続されており、年間900兆円もの商取引をサポートしています。既に多くの企業がこのプラットフォームへ接続しているため、効率的に新たな取引先との連携が可能です。

さらにWeb-EDIソリューションである「Active Orders」を活用することで、これらのデジタル化されたデータを可視化し有効活用することで、サプライチェーン全体のビジネスプロセスの最適化をサポートします。

ソリューション紹介動画

また、OpenTextのアウトソーシングサービスは、各国企業からのリクエストや国外の規制・コンプライアンスに追随して、四半期ごとにサービス拡充をしており、継続的な投資も実施しています。

日本のお客様のために、これらの実績と新たなサービス、そして国外の先進的な事例や具体的な取組みをご紹介することで、サプライチェーンの改革・変革・刷新に向けたサポートができれば幸いです。

OpenText™ Business Network Cloudの導入事例

大手企業を中心に数多くの実績がございます。事例の詳細については、お問い合わせください。
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